Saturday, March 26, 2016

Bee-stung beautiesの時代!?(リリーのすべて・キャロル)


画像:http://www.buzzfeed.com/eugeneyang/womens-ideal-body-types-throughout-history#.hbR4yBYV9



今年1月に"THE SUN"のネット記事に"THE breast boom has gone bust, with Hollywood’s bee-stung beauties taking over"と題する記事が掲載されていた。つまり、

おっぱいブーム弾け、ハリウッドは"蜂に刺された程度の胸"の美女の時代に」

というものだ。

代表的な「蜂刺され」美女として紹介されているのは『シンデレラ』のリリー・ジェームズ、『スターウォーズ』の新たなヒロイン、デイジー・リドリー、そして『コードネームU.N.C.L.E.』『リリーのすべて』『エクスマキナ』と話題作が続き、一気に人気女優の仲間入りをした、今をときめくアリシア・ヴィカンダー。

記事によれば、過去に豊胸手術を受けたビクトリア・ベッカムなど有名人の中には、より自然な外見が好まれるようになった風潮を受けて、すでにニセ胸を"減量する"手術を受けた女性たちもいるとのこと。

アリシア・ヴィカンダーについては、『リリーのすべて』で大胆なヌード場面があり、「オリーブ色の肌」と表現される美しい肌色のなめらかな裸体を披露しているけれど、胸もとは、サン紙の記事の表現もまあ下品だけれど確かに、と頷いてしまうような控えめな膨らみ。

そして、胸以上に目を引いたのは、かつて美人女優がこういう場面で披露してきた裸体史上もっとも自然かもしれない、「あっと、撮影前にご飯食べすぎちゃったー」みたいな微笑ましい丸みを帯びたおなかだった。

見終わってからも気になり、たしか女性のスタイルについては歴史上随分美意識が変わっているのだよな、それをコンパクトに示した動画があったはず…と探してみた。
はい、ありました。

この記事の中に出てくる動画がそれ。

そして、『リリーのすべて』で描かれる1920年代を確認すると、たしかに思ったとおりの美意識が支配する時代だったよう。

平らな胸、ウエストは軽視されている。短いボブヘア。少年のような体型。


アイナーが服とかつらだけで女性になるには、もっともやりやすかった時代だったかもしれない。

アリシアの作中のあの姿も、1920年代に美しいとされたスタイルを踏まえ再現したものなのか。
でも、この現代とは違う美意識に合わせた姿を、「おなかは平らに引き締まってなければならない、とくに美人女優たるもの!」というコンセンサスに反して披露するのは結構勇気が必要なはず。アリシア・ヴィカンダーって結構スタイル悪いよね!で片付けられる危険性も大ありだろうから。
監督の要請だったのだろうか。女優さんもいろいろ大変だ。


美人女優と胸といえば、『キャロル』で完璧に美しい人妻を演じたケイト・ブランシェットについても、面白い記事を読んだ。
『キャロル』のコスチューム・デザイナーであるサンディ・パウエルへの『ファッショニスタ』のインタビューだ。

あのシルエットを出すためには下着作りから取りかからなければならなかったの。あれはケイトのありのままの体型じゃないの…彼女はあんな突き出した胸をしてるわけじゃないのよ(笑)。信じられないかもしれないけどほとんどのジャケットはヒップの形のパッドをつけてウエストを小さく見せ、ブラであの胸の形を作ってるの。下着からその上に着る洋服のシルエットを構築しているわけなの。

なんと、そうだったのか!
そういう目に見えない部分での工夫があって、あの見るからに上質な生地、高級な仕立てのキャロルらしい円熟のゴージャスさが成り立っていたわけだ。

裏話を聞くとすこしがっかりするようでもあるけれど、スタッフたちの作品作りの情熱も同時にうかがえる。

そして、彼女たちさえ実は完璧なスタイルではないと知ったら、明日はちょっと元気に出かけられるかもしれない。